大判例

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東京高等裁判所 昭和44年(ネ)1413号 判決

まず、一般的に被控訴人の得意先係が被控訴人と基本となる預金契約を締結している顧客との間に個別的な預金契約を締結する権限を有するか否かを検討する。

この点、被控訴人は得意先係には預金契約を締結する権限はない旨主張するが、<証拠>によれば、被控訴人の得意先係が顧客から預金を集金する場合、あらかじめ得意先係に交付してある領収書用紙綴のうち集金予定枚数に被控訴人の支店長が被控訴人の印章を押捺しておき、得意先係はこれを集金の際顧客に交付するかまたは得意先係が顧客の所持する預金通帳に預金を受入れた旨を記入し捺印する取扱いとなつており、場合によつては得意先係の名刺や領収書用紙に同係個人の印章を押捺して領収書の代用とする便法もとられており、また得意先係が出張する場合は被控訴人の支店長の出張命令が必要であつたが、実際の運用上右手続は厳格に行われていなかつたことが認められ、右認定に反する証拠はない。

してみると、被控訴人の得意先係は、被控訴人との間に基本となる預金契約を締結している顧客から預金とする趣旨で金員の交付を受けた場合、個別的預金契約を締結する権限を有していたものと解するのが相当である。被控訴人の右主張は採用することができない。

(菅野 渡辺 中平)

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